2010年2月20日土曜日

漫画のルビと行送り

漫画のネームは通常行二分か四分二分で貼られてます。行二分というのは、行間が文字サイズの二分の一ということ。四分二分というのは通常は四分の一でルビが入るところは二分の一という意味です。漫画は本来子供用の読み物ですから、ルビがつくのが当たり前です。なので、あらかじめルビの分を確保しているのが行二分で、ルビが入るところだけ行間を空けるのが四分二分です。

ルビは主に漢字に読み仮名を振るために使われますが、明治に活字の基本サイズだった10.5ポイントの5号活字につける半分の大きさ(5.25ポイント)の7号活字のサイズが、「ルビー」クラスだったため、そう呼ばれるようになりました(tonan's blog: 号数サイズシステムは七号を汎用ルビとして作られたものではないだろうか?)。当時、イギリスでは活字のサイズに宝石の名前をあてはめていたためとのことです。ちょっと脱線しますが、10.5ポイントって昔のワープロの全角がだいたいこのサイズでした。この明治の活字の影響がずっと残ってたんですね。今でもそうなのかな? ワープロソフトを使ってないのでわかりませんが。

一方、ルビの振り方には大きく分けて2パターンあります。総ルビとパラルビです。総ルビはすべての漢字にルビを振るパターン。パラルビは必要(と思われる)部分にだけルビを振るパターンです。基本、低年齢向けの漫画は総ルビで、上の年代向けになるとパラルビになります。

週刊少年漫画誌は読者層を小学生からと捉えてますから、当然総ルビになります。ヤング誌になると総ルビはほとんど見かけなくなります。ルビはたくさんついていると煩わしく感じますし、スマートではありませんからね。

ではなぜ行二分と四分二分があるか、なんですが、昔は基本は行二分だったのではないかと思います。それがやがて漫画が子供向けから抜け出していくプロセスでネーム量が増え、ネームを押し込むために四分二分が増えていったんじゃないでしょうか。詳しく調べてないのでわかりません。あるいは(コスト面からか)ルビがほとんど振られてなかった貸本漫画からの流れなのかもしれません。

でも四分二分と言ってもジャンプみたいに総ルビだと、ほとんどが行二分になっていたりします。漢字表記を減らしている反面、カタカナに特殊読みを振ったり、「ヤツ」に人名を振ったりしますから、案外ルビを振る行は多いのです。

総ルビとパラルビと比べると、作業量としては総ルビの方が圧倒的に大変です。ですが、これって基本、印刷所に丸投げできるので下請け編集的には楽だったりします。それよりもパラルビの方が、場合によってはきつくなります。パラルビも少ないうちはいいのですが、ある程度以上になると「どの文字にはルビを振って、どの文字には振らないのか」の区別が曖昧になります。雑誌でそれが統一されていばともかく、たいていは作品ごとにナリユキなので、数作品を同時に処理しているとごっちゃになります。

また、パラルビについては初出ルビか全ルビかの違いもあります。初出ルビはその文字が最初に出てきたときだけルビを振るもので、全ルビは2回目以降もルビを振るパターン。全ルビと総ルビは言葉として間違えやすいですね。

この初出ルビについてもパターンがいろいろあって、単行本全部を含めて初出にだけ振る場合と、各話ごとの初出に振る場合があります。また漫画ではないのですが、小説だと見開きごとで初出にルビを振る場合もあります。電撃文庫だったかファミ通文庫だったがそうだったように覚えています。

実作業の場では、この初出ルビ、どれが最初に出てきたかを探すのが結構面倒だったりします。特に各話ごとだと、「ああ、コレ前にルビ振ってあるからいいよな」と思ったら前の話数だったり、その逆だったりして、機械的な作業ではすまなくなるのでさらに面倒が増します。機械的にルビを振るのは、会社であればソフトごとにルビ振りのツールが出ているので、それでまとめてやれば済む話なので楽なのですが、こうして人間の頭が介在する作業は面倒ですし、ミスが発生しやすくなります。



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