2010年2月20日土曜日

裁ち落としまで何マイル?

原稿裁ち切りサイズ 漫画(に限りませんが)裁ち切りいっぱいに絵面を乗せたいときには、印刷物では仕上がり寸法より3mmなり5mmなりの裁ち落とし部分にまで(保険として)絵を乗せておく必要があります。ですが、これはあくまで仕上がり寸法での3mmなり5mmですから、縮小される前の原稿段階での寸法は1.2~2倍必要となります。

 B4原稿の内枠・270×180mmから裁ち切りまでの長さは、仕上がりの本・雑誌のサイズによって、いえ、それどころか出版社によっても変わってきます。右の図は私が携わったことのある新書判・B6判単行本・B5判雑誌での原稿における裁ち切り、裁ち落としまでのサイズです。つまり、この場合、

  • 新書判で、天 35mm、地 30mm、左右20mm
  • B6判単行本で、天 30mm、地 30mm、左右30mm
  • B5版雑誌で、天 25mm、地 25mm、左右25mm

 見ておく必要がある、ということです。

 ところが、実際に雑誌や単行本の入稿をすると絵面が足りないことがよくあります。よく使われている某社の画稿用紙は内枠と外枠の間が27.5mmしかないので、新書判はもとよりB6判単行本でも天の絵面が足りなくなることがよくあります。B6判単行本であれば、天地は画稿用紙の物差しの目盛りのあるところまで描いていただければまず問題なく足りるのですが、そこまで描いてくれている作家さんはあまり多くありません。

 単行本の仕事を請け負っているときには、雑誌担当の編集者に「作家さんにもうちょっと外側まで描いてくれるように伝えて下さい」と何度か言ったものの、それで次の巻で改善されたのは半分以下でした。基本的に担当編集者は雑誌でちゃんと出ているので、単行本での問題は実感として認識できないのでしょう。また、絵面が足りない場合は、単行本の編集作業で、

  1. そのページ全体の縮小率を変える。
  2. 必要なコマだけ拡大する(縮小率を小さくする)。
  3. 版全体を足りない方向に移動する。
  4. 上記すべてを組み合わせる。

 などといった手当をするため、できあがった単行本を見て作家さんが問題点を実感できないでいる、というせいもあるでしょう。正直一度くらいは絵面が足りないままで単行本を出して、「ほら、だからもうちょっと外側まで描こうよ」と納得してもらった方がいいんじゃないかとも思いますが、それは叶わぬ夢ですね。

 ところで、この裁ち切りいっぱいにまで絵が載る、というのは実は割と最近のことなのです。20年くらい前だと、裁ち切りは今ほど多くありませんでしたし、また場合によっては絵面が足りない場合は、裁ち切りの内側に枠を設けて、そこから先の絵面は切っていたりもしました。現在の裁ち切り全盛の漫画からはちょっと想像がつかないお話であります。

 最後に、新書判・B6判単行本・B5判雑誌対応の原稿サイズのjpgを載せておきます。ぜひとも、参考にして下さると作業が楽になってとても助かります。


原稿裁ち切りB5雑誌 原稿裁ち切りB6単行本 原稿裁ち切り新書判


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